フィルムスタディーのやり方。映画・アニメを模写して構図を学ぼう
「フィルムスタディー」で絵の練習をしたいけれど、どうやるのだろう?
映画のワンシーンから構図を学ぶフィルムスタディーで、画面を構成する力を身につけましょう。
今回は、パルミー月謝制講座「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」より、内容を一部抜粋してご紹介します。
フィルムスタディーはどのように進めていくのか、手順やコツを見ていきましょう。
フィルムスタディーの基礎知識
スタジオジブリ様が、自社作品の場面写真を提供しています。
この講座では、スタジオジブリ作品の場面写真を、学習用の参考資料として使わせていただいています。
フィルムスタディーとは何か?
フィルムスタディーとは、映像作品を用いた勉強法です。
映画やアニメのワンシーンを短時間で模写して、構図や構成、流れを学びます。
フィルムスタディーで身につく力
・印象を単純化して捉えられるようになる
・構図のボキャブラリーが増える
・ラフが伝わりやすくなる
映像作品では、人物・背景・カメラアングルなど、画面内の全ての要素が計算されて作られています。
実写映画でも、背景を使って見せたい人物に視線誘導をしたり、役者さんを台に乗せて意図したアングルで撮影したり、一つの画面を作るために様々な工夫がされています。
こういった映像作品の画面の意図を汲み取り、構図や構成を理解していくのがフィルムスタディーです。
フィルムスタディーで模写をしていくうちに、構図の意図を捉えられるようになり、伝わりやすい画面が描けるようになります。
フィルムスタディーを始める前に
フィルムスタディーで練習をする際には、2つの点を意識してみてください。
・ショット(フレーム枠に対する被写体の大きさ)
・何を伝えたいのか?
ショットの種類
まず最初に、お手本の画面はどのショットに属するのかを考えましょう。
人物の顔から首までを映していると「クローズアップ」、顔から膝丈ぐらいまでを映していれば「ミディアムショット」、全身を映していれば「フルショット」です。
この画面では何を伝えたいのか?
人物の顔だけを映したクローズアップでは、表情は分かりやすいですが、周りの状況が伝えられません。
周りの状況を伝えたい場合は、解説図の右上のようなカメラを引いたミディアムショットを使いましょう。
・中央の人物が重い物を持とうとしている
・周りの人が「持てるの?」と心配そうに手を貸そうとしている
ミディアムショットは、キャラクターの演技と状況を伝えるショットです。
フィルムスタディーでお手本の画面を模写する際にも、この画面はどのショットなのか、何を伝えたいのか、といった点を意識してみてください。
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フィルムスタディーの手順
今回のフィルムスタディーでは、1ショットを3分で写していきます。
お手本にしている画面は、ジブリ作品「おもひでぽろぽろ」のワンシーンです。
1.フレームを写す
まず最初に、お手本の画面のフレーム枠を写します。
画面作りはフレーム枠から始まっています。
横長のフレーム比率が与える印象を感じ取りましょう。
2.人物を単純化する
画面の人物の位置に着目して、頭や胴体の位置をざっくりと取っていきます。
細部は後回しにして、単純化した形で写していきましょう。
2人の位置関係の違いや、姿勢も意識しましょう。
・右の人物の方が背が高い
・右の人物はやや前のめり
3.ジェスチャーを追加する
人物のジェスチャーも追加します。
左の人物は、顔を手で覆うような仕草をしています。
右の人物は、荷物を持ちながら片方の腕を出しています。
この画面は人物の顔から腰までを映しているので、ミディアムショットです。
ミディアムショットは、演技と状況を伝えるショットでした。
このショットで伝えたいことは、「2人が会話をしている様子」ということが分かってきました。
4.細部を追加する
時間が残っていれば、服装や表情などの細部も追加しましょう。
右の人物の帽子のツバは、視線誘導にもなっています。
画面を見ている人の視線は、帽子のツバから会話をしている相手の顔へと向かいます。
口元を追加しただけで、どんな感じで話しているのかも伝わってきました。
5.背景を単純化する
時間に余裕があれば、背景も写してみましょう。
この画面では、人物は都市部にいるような印象を感じると思います。
舞台が都市である、と感じたのはなぜでしょうか?
お手本の画面を単純化して写した結果、背景には直線が多く使われていることが分かりました。
画面を見て都市にいると感じた理由は、人工物のイメージを与える「直線」が多用されているからです。
フィルムスタディーで重要なこと
描いた後の分析が大切
ジブリ作品「海がきこえる」のワンシーンをフィルムスタディーしています。
フィルムスタディーでは、描いた後の分析が一番重要です。
「右の人物の方に視線がいきやすい」という印象を感じたら、「なぜそう感じるのか?」、理由を探しましょう。
描いた後の分析1
・画面を三分割すると、一番目立つ中心の領域に右の人物の顔が入っている
・左の人物の視線が、右の人物の顔へと向かっている
右の人物に視線がいきやすい理由が見つかりました。
描いた後の分析2
「右の人物の方が立場が弱く見えるのはなぜ?」
・右の人物の頭部は、左の人物の頭部より低い位置にある
・肩をすくめるジェスチャーをしている
フィルムスタディーでは、画面を見たときの印象に着目してみてください。
次に「なぜそう感じたのか?」と考えて、印象を構成している要素を画面の中から探していきましょう。
「右の人物がお願い事をしているように見えるのはなぜ?」
・手を合わせているジェスチャー
・おじぎ気味の頭部
・上目遣いの表情
自分でお願いごとをしているキャラクターを描くときには、上記の要素を含めれば伝わりやすい、ということが分かってきます。
フィルムスタディーで分析した要素を、自分のイラストにも取り入れてみてください。
「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」をもっと詳しく動画で解説!7日間の無料お試しで視聴しよう!
パルミーの月謝制講座「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」では、フィルムスタディーのコツや実演を、より詳しく動画で解説しています。
- 大きさの対比を活かした構図
- 状況説明に適したダウンショットの構図
- 緊迫感・躍動感を生み出す構図
- 迫力のあるアップショットの構図
- 物語性のある構図
- 学んだ構図を自分の絵に活かすテクニック
実演パートでは、様々な構図をフィルムスタディーで練習していきます。
フィルムスタディーを通して映像作品の画面構成を学び、ご自分のイラストに活かしてみてください。
この講座は、「
アニメーターが教えるカンタン構図講座【初級編】」と、「
アニメーターが教えるカンタン構図講座【中級編】」を受講した方向けの講座です。
構図の作り方や考え方を基礎から学びたい方は、こちらの二つの講座もぜひ受講してみてください。
無料お試しでは、これらの講座をはじめとする200以上の講座が全部視聴できます!
「フィルムスタディー」で絵の練習をしたいけれど、どうやるのだろう?
映画のワンシーンから構図を学ぶフィルムスタディーで、画面を構成する力を身につけましょう。
今回は、パルミー月謝制講座「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」より、内容を一部抜粋してご紹介します。
フィルムスタディーはどのように進めていくのか、手順やコツを見ていきましょう。
フィルムスタディーの基礎知識
スタジオジブリ様が、自社作品の場面写真を提供しています。
この講座では、スタジオジブリ作品の場面写真を、学習用の参考資料として使わせていただいています。
フィルムスタディーとは何か?
フィルムスタディーとは、映像作品を用いた勉強法です。
映画やアニメのワンシーンを短時間で模写して、構図や構成、流れを学びます。
フィルムスタディーで身につく力
・印象を単純化して捉えられるようになる
・構図のボキャブラリーが増える
・ラフが伝わりやすくなる
映像作品では、人物・背景・カメラアングルなど、画面内の全ての要素が計算されて作られています。
実写映画でも、背景を使って見せたい人物に視線誘導をしたり、役者さんを台に乗せて意図したアングルで撮影したり、一つの画面を作るために様々な工夫がされています。
こういった映像作品の画面の意図を汲み取り、構図や構成を理解していくのがフィルムスタディーです。
フィルムスタディーで模写をしていくうちに、構図の意図を捉えられるようになり、伝わりやすい画面が描けるようになります。
フィルムスタディーを始める前に
フィルムスタディーで練習をする際には、2つの点を意識してみてください。
・ショット(フレーム枠に対する被写体の大きさ)
・何を伝えたいのか?
ショットの種類
まず最初に、お手本の画面はどのショットに属するのかを考えましょう。
人物の顔から首までを映していると「クローズアップ」、顔から膝丈ぐらいまでを映していれば「ミディアムショット」、全身を映していれば「フルショット」です。
この画面では何を伝えたいのか?
人物の顔だけを映したクローズアップでは、表情は分かりやすいですが、周りの状況が伝えられません。
周りの状況を伝えたい場合は、解説図の右上のようなカメラを引いたミディアムショットを使いましょう。
・中央の人物が重い物を持とうとしている
・周りの人が「持てるの?」と心配そうに手を貸そうとしている
ミディアムショットは、キャラクターの演技と状況を伝えるショットです。
フィルムスタディーでお手本の画面を模写する際にも、この画面はどのショットなのか、何を伝えたいのか、といった点を意識してみてください。
フィルムスタディーのやり方
フィルムスタディーの手順
今回のフィルムスタディーでは、1ショットを3分で写していきます。
お手本にしている画面は、ジブリ作品「おもひでぽろぽろ」のワンシーンです。
1.フレームを写す
まず最初に、お手本の画面のフレーム枠を写します。
画面作りはフレーム枠から始まっています。
横長のフレーム比率が与える印象を感じ取りましょう。
2.人物を単純化する
画面の人物の位置に着目して、頭や胴体の位置をざっくりと取っていきます。
細部は後回しにして、単純化した形で写していきましょう。
2人の位置関係の違いや、姿勢も意識しましょう。
・右の人物の方が背が高い
・右の人物はやや前のめり
3.ジェスチャーを追加する
人物のジェスチャーも追加します。
左の人物は、顔を手で覆うような仕草をしています。
右の人物は、荷物を持ちながら片方の腕を出しています。
この画面は人物の顔から腰までを映しているので、ミディアムショットです。
ミディアムショットは、演技と状況を伝えるショットでした。
このショットで伝えたいことは、「2人が会話をしている様子」ということが分かってきました。
4.細部を追加する
時間が残っていれば、服装や表情などの細部も追加しましょう。
右の人物の帽子のツバは、視線誘導にもなっています。
画面を見ている人の視線は、帽子のツバから会話をしている相手の顔へと向かいます。
口元を追加しただけで、どんな感じで話しているのかも伝わってきました。
5.背景を単純化する
時間に余裕があれば、背景も写してみましょう。
この画面では、人物は都市部にいるような印象を感じると思います。
舞台が都市である、と感じたのはなぜでしょうか?
お手本の画面を単純化して写した結果、背景には直線が多く使われていることが分かりました。
画面を見て都市にいると感じた理由は、人工物のイメージを与える「直線」が多用されているからです。
フィルムスタディーで重要なこと
描いた後の分析が大切
ジブリ作品「海がきこえる」のワンシーンをフィルムスタディーしています。
フィルムスタディーでは、描いた後の分析が一番重要です。
「右の人物の方に視線がいきやすい」という印象を感じたら、「なぜそう感じるのか?」、理由を探しましょう。
描いた後の分析1
・画面を三分割すると、一番目立つ中心の領域に右の人物の顔が入っている
・左の人物の視線が、右の人物の顔へと向かっている
右の人物に視線がいきやすい理由が見つかりました。
描いた後の分析2
「右の人物の方が立場が弱く見えるのはなぜ?」
・右の人物の頭部は、左の人物の頭部より低い位置にある
・肩をすくめるジェスチャーをしている
フィルムスタディーでは、画面を見たときの印象に着目してみてください。
次に「なぜそう感じたのか?」と考えて、印象を構成している要素を画面の中から探していきましょう。
「右の人物がお願い事をしているように見えるのはなぜ?」
・手を合わせているジェスチャー
・おじぎ気味の頭部
・上目遣いの表情
自分でお願いごとをしているキャラクターを描くときには、上記の要素を含めれば伝わりやすい、ということが分かってきます。
フィルムスタディーで分析した要素を、自分のイラストにも取り入れてみてください。
「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」をもっと詳しく動画で解説!7日間の無料お試しで視聴しよう!
パルミーの月謝制講座「フィルムスタディーで学ぶ構図講座【上級編】」では、フィルムスタディーのコツや実演を、より詳しく動画で解説しています。
- 大きさの対比を活かした構図
- 状況説明に適したダウンショットの構図
- 緊迫感・躍動感を生み出す構図
- 迫力のあるアップショットの構図
- 物語性のある構図
- 学んだ構図を自分の絵に活かすテクニック
実演パートでは、様々な構図をフィルムスタディーで練習していきます。
フィルムスタディーを通して映像作品の画面構成を学び、ご自分のイラストに活かしてみてください。
この講座は、「
アニメーターが教えるカンタン構図講座【初級編】」と、「
アニメーターが教えるカンタン構図講座【中級編】」を受講した方向けの講座です。
構図の作り方や考え方を基礎から学びたい方は、こちらの二つの講座もぜひ受講してみてください。
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